露天商組合からスニーカーブランド誕生、バルセロナのアフリカ移民
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■路上から抜け出す
路上販売をしていて法に触れないことはあり得ないとサールさんは言う。彼らの組合の主な目的は、スペインの移民法で保護されない露天商を路上から救い出すことだ。
スペインの移民法によると、欧州連合(EU)加盟国以外の国民が居住許可証を得るには、スペイン国内に3年間住んでいたことを証明し、1年の労働契約を確保し、犯罪歴がないことなどが条件だ。だが、その3年間は正規の仕事に就けないので、やむなく移民は無許可の路上販売に手を染める。
「一つの場所で何もしないまま3年間住むなんてあり得るでしょうか。信じられません」とサールさんは訴えた。
セネガルを離れ、1週間の航海の末、彼がカナリア諸島に着いたのは2006年。やがてスペイン本土のバルセロナへ移ったが、組合の助けで約120人の仲間と共に居住許可証を得て、路上販売と手を切ったのはわずか2年前のことだ。
バルセロナ市庁によると、現在同市には100人前後の露天商がいるという。
新型コロナウイルスの世界的大流行で観光客が消えたため、ウミ・マンガ(Oumy Manga)さん(32)は、5年続けた路上販売をやめた。コロナ禍の当初は、マスクなど防護具を縫っていた。
アフリカ音楽とミシンの響きが交ざり合う作業所で、セネガル出身の彼女はTシャツ作りに打ち込む。間もなく仕立ての講習を修了するところだ。同時にスペイン語とカタルーニャ語の勉強もしている。「物売りは好きでないので、路上に戻らなくてすむように学んでいます」