【7月17日 AFP】新型コロナウイルスの世界的大流行で1年延期された32回目の夏季五輪、東京五輪が23日に開幕する。

 AFPスポーツが選んだ「五輪のレジェンド」シリーズ第3回。新たに5人を紹介する。

■10点満点、ナディア・コマネチ:体操(ルーマニア)

 スポーツで完全無欠はめったにあり得ない。だが、45年前のモントリオール大会で、14歳のルーマニアの少女がそれを果たした。

 女子体操の審査員らは、身長150センチの小柄なナディア・コマネチ(Nadia Comaneci)の演技に計7回の満点を与えた。その結果、コマネチは個人総合を含む金メダル3個を獲得。4年後の1980年モスクワ大会では、さらに2個の金メダルに輝いた。

 コマネチは1981年に現役を引退。1989年、ルーマニアの独裁者ニコラエ・チャウシェスク(Nicolae Ceausescu)大統領の失脚直前に亡命し、現在まで米国に住んでいる。

■飛び込みの達人、グレッグ・ローガニス:飛び込み(米国)

 グレッグ・ローガニス(Greg Louganis)は、1984年ロサンゼルス大会で2個の金メダルを獲得。4年後のソウル大会では、飛び板に頭を打ち付ける事故に見舞われながらも、両タイトルを死守した。1980年、米国がモスクワ大会をボイコットしなければ、もっと金メダルを獲得できただろう。

 苦労続きの人生だった。スウェーデン系とサモア系の実父母はまだ10代だったため、生まれてすぐ養子に出されたローガニスは、学校でいじめに遭い、自分のマネジャーに虐待され、ソウル五輪の6か月前にはエイズウイルス(HIV)陽性であることが判明している。

■無敵のハードラー、エドウィン・モーゼス:陸上(米国)

 陸上男子400メートルハードルのエドウィン・モーゼス(Edwin Moses)ほど、息の長い王者はまれだ。1977年から1987年にかけて、122連勝を記録。五輪金メダルを2個獲得し、4個の世界記録を樹立した。

 1976年モントリオール大会で世界デビュー。当時20歳のモーゼスは、2位以下を8メートルという記録的な差で引き離して勝利し、同時に世界記録を更新した。

 1980年のモスクワ大会は米国のボイコットで参加できず、4年後のロサンゼルス大会で通算2個目の金メダルを奪った。1988年、ソウル大会で銅メダルを手にしたときは33歳だった。

 どのような選手として人々の記憶に残りたいかと聞かれ、こう答えた。「誰にも負けない男として」