【6月28日 AFP】ツール・ド・フランス(2021 Tour de France)の第1ステージ(ブレストからランデルノー、197.8キロメートル)で起こった大規模なクラッシュについて、仏警察が27日、事故の原因をつくった女性観客の捜査を開始し、目撃者の協力を呼びかけた。

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 選手が次々に落車した26日の事故では、道路に乗りだしていた観客の女性が原因になった。女性はドイツ語で「おじいちゃん、おばあちゃん」と書かれたプラカードを手にしたまま、迫ってくる集団に背を向け、テレビの中継カメラの方だけを見ていた。

 その直後、集団の先頭付近を走っていたチーム・ユンボ・ビスマ(Team Jumbo Visma)のトニー・マルティン(Tony Martin、ドイツ)が、道路にはみ出していたプラカードにぶつかって落車。そこから倒れたバイクと選手にさえぎられて他選手も次々に落車する恐ろしい大事故に発展した。

 フランス国家憲兵隊のジョエル・シェレル(Joel Scherer)中佐はAFPに対して、「ツールの大きな課題は沿道の警備だ」とコメント。別の警官は、ツールをはじめとする自転車レースでは「死者ゼロ人」が最低限の任務だと話した。

 黄色い上着を着た問題の女性は、事の重大さに気づくと恐ろしさにふらつき、折りたたんだカードを脇に抱えて観衆の奥へと消えた。

 シェレル中佐によると、女性を確保した後は過失傷害の罪で訴追する方針だという。

 大会副ディレクターのピエールイブ・トゥー(Pierre-Yves Thouault)氏も「われわれは、不適切な行動を取ったこの女性を訴える」と発言。「ごく一部の人間の行動でみんなの大会が台無しにならないようにするためだ」と述べている。(c)AFP/Damian MCCALL