【7月4日 AFP】米テキサス州は先月、19世紀に元奴隷たちが築いた地区を同州初の歴史地区に認定した。時を同じくして、米政府は奴隷解放記念日の6月19日を祝日と定めた。

 今回の認定は、ヒューストン(Houston)のフリードメンズタウン(Freedmen's Town)が持つ豊かな歴史に光を当てた。ここは米国の黒人文化を象徴するニューヨークの地区にちなみ「南のハーレム」と呼ばれている。

■自由になった奴隷の新生活の場

 ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は先月19日の奴隷解放記念日「ジューンティーンス(Juneteenth)」を前に、同日を連邦政府が定める12番目の祝日に制定した。

 1865年のこの日、北軍(Union Army)のゴードン・グレンジャー(Gordon Granger)将軍は、テキサス州で奴隷解放を宣言。最後に残る奴隷だったアフリカ系米国人たちは自由となった。

 1862年にエーブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)大統領が「奴隷解放宣言(Emancipation Proclamation)」を発布してから3年がたっていた。

 フリードメンズタウンを築いたのは、奴隷解放宣言後にテキサス州各地やルイジアナ州のプランテーションを離れ、ヒューストンで新生活を始めた元奴隷たちだった。

「彼らはバッファロー・バイユー(Buffalo Bayou)の南岸に住み着いた。誰も住みたがらない森や湿地帯を、なんとか住めるようにした」と地区のリーダーはAFPに語った。

 20世紀初頭、フリードメンズタウンはにぎわった。多くの人が暮らし、400以上の店やレストランに加え、ジャズやブルースのクラブが連なった。教会からはゴスペルが流れていた。

 そして当時ニューヨークで黒人文化が花開いたハーレムにちなみ、「南のハーレム」と呼ばれるようになった。(c)AFP/Francois Picard