【6月24日 AFP】欧州連合(EU)の欧州疾病予防管理センター(ECDC)は23日、域内の新型コロナウイルス感染について、8月末までに感染力が強い変異株「デルタ株」が約90%を占める可能性があると警鐘を鳴らし、迅速なワクチン接種を加盟国に呼び掛けた。

 ECDCによると、EUでは現在、英国で最初に確認されたアルファ株が主流になっているが、間もなくデルタ株に置き換わるとみられている。

 ECDCのアンドレア・アモン(Andrea Ammon)所長は文書で、「デルタ株は今夏、ワクチン接種の対象となっていない若年層を中心に大流行する可能性が非常に高い」と述べた。

 アモン氏によると、インドで最初に確認されたデルタ株は、他の変異株よりも感染力が強く、8月末までにEUの新規感染の90%を占めるとみられている。

 ロシア首都モスクワでは、過去2週間で5万人の新規感染者が確認されており、セルゲイ・ソビャニン(Sergei Sobyanin)市長によると、その9割をデルタ株が占めている。

 英国でもデルタ株が主流となっているが、成人の82.5%が少なくとも1回のワクチン接種を受け、60%が接種を終えるなど、ワクチン接種キャンペーンが功を奏し、入院者数や重症者数を抑えられている。

 ECDCによると、デルタ株の感染拡大を阻止し、被害を抑えるためにはワクチン接種を迅速に進めることが非常に重要だという。EUでまだワクチン接種を完了していない人の割合は、80歳以上で約30%、60歳以上で約40%となっている。(c)AFP