【6月23日 AFP】ブラジルの首都ブラジリアの連邦議会前で22日、土地改革法案に反対する先住民のデモ隊と警官隊が衝突した。先住民らは弓矢で武装。周辺は、警官隊が噴射した催涙ガスに包まれ、同法案に関する審議は中断された。

 活動家らによると、衝突で先住民2人が重傷を負って入院した他、10人前後が軽傷を負ったという。

 議会広報によると、抗議デモの参加者約500人が議事堂の入り口の一つに「侵入」しようとし、矢による攻撃を受けた警官隊が催涙ガス、スタングレネード(威嚇用手投げ弾)、唐辛子スプレーで応酬した。少なくとも警官3人が矢で負傷したという。

 一方、デモの主催者側は、平和的に行われた抗議活動を警察が「暴力的に」制圧したと主張している。

 デモ参加者がソーシャルメディアに投稿した動画には、伝統的な羽根飾りを頭にかぶり、体に染料を塗った先住民らが催涙ガスでかすむ中を叫び、走る様子が映っていた。また負傷していると思われる男性1人を引きずる姿もあった。

 事態を受けて下院では、先住民保護区の規定を変更する「PL490」法案に関する委員会審議を中断した。

 先住民の権利擁護団体は、同法案はこれまで保護されてきた地区での鉱山や発電用ダム、道路などの開発に道を開くものだと警告している。(c)AFP