■コロナ感染後「さらに精力的に活動」

 ドミンゴ氏は、今でも「米国を含めた世界中」の劇場から歌ってほしいというオファーが来るが、「物事をこじらせたくはありません」と語った。

 流行第1波で新型コロナウイルスに感染したが、今は復帰し、以前よりも「さらに活発に」仕事をこなしていると言う。

 仏パリ・オペラ座(Opera)のアレクサンダー・ニーフ(Alexander Neef)総監督とも連絡を取っており、再演する夢も持っていると言う。特にロサンゼルス歌劇場の同僚だったベネズエラ出身の指揮者グスターボ・ドゥダメル(Gustavo Dudamel)氏が、オペラ座の次期音楽監督に決まっているのでなおさらだ。

 ドミンゴ氏はオペラ歌手として151の役柄をこなし、4000回以上の公演を行い、さらに100枚以上のアルバムを発表し、あらゆる記録を塗り替えてきた。

 1986年、ジュゼッペ・ベルディ(Giuseppe Verdi)作曲の「オテロ(Otello)」を演じたときには、103回のアンコールを受けた。「オテロ」はドミンゴ氏が好むオペラ作品で、これまでに225回演じている。

 1990年代には、故ルチアーノ・パバロッティ(Luciano Pavarotti)氏やホセ・カレーラス(Jose Carreras)氏とともに「三大テノール(Three Tenors)」と呼ばれ、世界の超大スターの地位を享受した。

 ドミンゴ氏は引退の時期を考えていないという。「人生を4回生きたとしても、歌ったことがないオペラがたくさん残るはずです」

「肉体的にもう無理だとなったとき、例えば自分の声が言うことを聞かなくなったときには、やめるでしょう」

 コロナ禍が新進スターのキャリアを妨げていると懸念するドミンゴ氏。それでも、豊富な才能があふれ、不変の人気を持つオペラの未来を楽観していると言い切った。

「次のパバロッティ、カレーラス、ドミンゴを決めるのは、それが分かる耳と目を持つ聴衆だ」 (c)AFP/Rana MOUSSAOUI