【6月20日 CNS】「飲食店を開くのにも時間がかからない、手間が省ける、気楽な商売だ」「シェフ不要で3分でサッと出来上がる」「炊煙が出ないキッチンで清潔だ」。近年、中国では外食産業が急速に発展していることや、料理をするのが苦手な若い世代がキッチンの主力になっていることなどから、中華料理や西洋料理、主食などをカバーしたレトルト食品が人気を集めている。

 話題の最前線では、レトルト食品受容派もいれば、反対派もいる。

「今、みなさんが頼んだ出前は、10件のうち5〜6件がレトルト食品から作られたのかもしれない」。福建省(Fujian)のあるレトルト食品企業の上級管理職を務める男性の何さんによると、レトルト食品は調理済み食品、半調理済み食品があり、主に冷凍と常温に分けられる。冷凍レトルト食品は食品を急速冷凍で処理し、マイナス18℃の低温で保存する。常温レトルト食品は、高温殺菌済で常温保存が可能だ。

「個人的には、レトルト食品の一番良くないのは、料理の『風味』が保障されないことだ」。南寧(Nanning)市民の李さんは、品質と味を守るために添加物が入っている可能性があると考える。多くの消費者は、彼と同じように、飲食店がレトルト食品で作った食事には「手作り感がない」と思っている。

 南寧の女性の梁さんは、ECサイトからレトルト食品を購入し利用している。「加熱するだけで便利だし、味も悪くないと思う」と言った。

 あるECサイトで「料理包(レトルト食品のこと)」をキーワードに検索したところ、10万軒あまりの店舗があった。これらの店舗では、丼物やルーロー飯など、さまざまな味のレトルト食品が販売されており、価格は10元(約170円)以下、賞味期限は3か月から1年半とさまざまだ。

 業界関係者の中には、近年頻発している低品質レトルト食品事件や伝統的な食習慣の影響で、飲食店も消費者もレトルト食品に多少の不信感を持っているとの見方がある。

「レトルト食品業界は良いとは言えないし、秘密工場もあるのかもしれない」。何さんは、正規のレトルト食品工場の衛生状態は、一部の実店舗の料理店よりも良いかもしれないと思っており、「私たちの工場の従業員は、作業場に入る前に4、5回の消毒工程を経なければならない」と言う。

 食品の安全問題に対して業界の関係者は、消費者がネット注文で小規模飲食店のレトルト食品の過熱製品を購入してしまうかもしれないと考えている。これらの小規模飲食店は過熱不足や、不適切な保存、劣悪な衛生条件などの安全問題があるかもしれないとのことだ。「飲食店自身が食品安全意識を高め、国が監督管理を強化しなければ、この問題は解決できない」と考えている。

 新思界産業研究センターが発表した「2020〜2024年中国レトルト食品市場産業予備調査報告」によると、2019年の中国レトルト食品業界の市場規模は71億1000万元に達したという。国海証券の研究報告によると、現在のレトルト食品市場ストックは約3000億元(約5兆1200億円)で、今後6〜7年の市場規模は兆元級に達する見込みだ。

 何さんによると、今の多くの若者はレトルト食品に対する受容度がますます高くなり、レトルト食品は時代の発展トレンドだという。(c)CNS-工人日報/JCM/AFPBB News