【6月17日 AFP】(更新)ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は16日、スイス・ジュネーブでジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領との初会談を終え記者会見し、会談は「建設的」だったと表明、両者がサイバー安全保障や軍備管理についてさらなる協議を行うことで合意したことを明らかにした。

 プーチン氏は、「会話は全くもって建設的だった」と説明。バイデン氏については「非常に建設的で、バランスが取れ、とても経験豊富であることが、すぐに見て取れる」と評価した。

 プーチン氏は、両者が「サイバーセキュリティーについての協議を始めることで合意した」ものの、ハッキングやサイバー犯罪については米国もロシアと同じく大きな問題を抱えていると指摘した。

 プーチン氏によれば、米国はロシアを起源とするサイバー安保事案10件についての情報提供を要請し、ロシア側はそのすべてに対して「網羅的な」回答をした。一方でロシアは米国に対して同様の要請を昨年45件、今年に入ってからは35件申し入れたが、「回答は一つも受け取っていない」という。プーチン氏は「世界のサイバー攻撃の多くは米国の空間から行われている」と主張した。

 プーチン氏は、主要核保有国である米ロ両国には「世界の戦略的安定性に対する特別な責任」があると指摘。米ロが2月、両国間で唯一残る核軍縮条約である「新START(New START)」を延長したことは「責任ある決定」だったとし、両国の外相・国防相が今後の対応について協議を開始することでバイデン氏と合意したことを明らかにした。

 プーチン氏はこのほか、米ロ両国がそれぞれの大使の復帰で合意したと発表。「大使らは赴任地に復帰する。具体的な時期は純粋に実用上の問題だ」と述べた。バイデン氏は3月、プーチン氏が「殺人者」であるとの見解を表明。ロシアはこれを受け、アナトリー・アントノフ(Anatoly Antonov)駐米大使を本国に召還するとともに、ジョン・サリバン(John Sullivan)駐ロシア米大使に対し帰国を勧告していた。

 プーチン氏は、北極でのロシアの軍備増強に対する米国の懸念を一蹴。「軍配備についての米国側の懸念は根拠がない」と述べ、ロシアは同地域で「破壊されたインフラの修復」に取り組んでいるとした。

 さらに会談では米国との受刑者交換の可能性を協議したことを明らかにし、この問題では「一定の譲歩があるかもしれない」と述べた。

 ロシアで収監されている野党勢力指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏については、昨年の毒殺未遂事件で治療のためドイツに渡航し、過去に受けた有罪判決の執行猶予条件に違反したことに言及し、「この人物はロシアの法律に違反していることを知っていた」と述べた。(c)AFP