【6月20日 CGTN Japanese】6月は中国の卒業シーズンです。また新たな大卒者が学校を出て社会に入ります。中国教育部のデータによりますと、今年の全国の大卒者は前年比35万人増の909万人に上ります。例年とは異なり、アルバイトをしながら各地を旅行するなどして人生の経験を豊かにする人や、大学院試験や公務員試験、各種職業技能検定試験に向けて準備する人、新型コロナウイルス感染症収束後の海外留学を待つ人など、「ゆっくり就職」の傾向が多く見られます。

 華東師範大学(East China Normal University)社会発展学院社会学科の文軍(Wen Jun)教授は、ゆっくり就職について、「怠けではなく、むしろ自分に対する要求が高いことを意味する。例えば、大学院試験に合格できなかった学生の多くは猛勉強して来年また受験することを選ぶ。中国の若者の自己実現の意欲がますます強くなっていることの表れだ」と分析しています。

 また、中国教育部学生司の呉愛華(Wu Aihua)副司長は、「ゆっくり就職は、社会の包容性と大卒者の職業選択肢が多元化していることの表れの一つだ。現在の大卒者の多くは1995年から2000年までに生まれた一人っ子で、昔と比べて良い家庭条件に恵まれ、保護者も子どもの選択を尊重している」との見方をしています。

 ゆっくり就職現象を受け、大学側は教師との相談、家庭と学校の連携、友人同士からの支援などを通じて、卒業生一人ひとりの実情に即したサービスを提供しています。多くの大学は実習室や学業共有センター、就職情報などを提供することで心理面もケアしています。

 一方、北京師範大学(Beijing Normal University)戦略人材研究センターの主任である王建民(Wang Jianmin)教授は、「ゆっくり就職は就職しないということではなく、まして逃避ではない。卒業生は社会に入り、労働のつらさを体感しながら自分の経験を豊かにし、キャリアプランの基礎を築くべきだ」とアドバイスしました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News