【6月17日 CNS】卒業シーズン、中央美術学院(CAFA)の卒業制作展が予定通りやって来た。抖音(Douyin)などのSNSサイトでは、中央美術学院の卒業制作展の話題が1億9000万回も再生され、今年の夏、北京で最も人気のある展示会の一つとなった。

 記者が展示場で見たところ、多くの市民が子どもを連れてこの「視覚の盛宴」を鑑賞しに来た。現場に新鮮な活力を加えるのはいいが、いささか礼儀正しくない見学行為も現れた。素手で展示品に触れたり、靴を履いたまま展示品の上で勝手に足を踏みしめたり、展示装置を直接引っ張るなど。美術館には、傷つけられた油絵や、引っ張られて変形したアート装置が至る所で見られ、見る者の心を痛めた。

 中央美術学院の大学院卒業制作展には、二人分の身長の高さに近い巨大な虹の「ケーキ」があった。鮮やかなキャンディー色で、来場者の目を引くものだった。展示会を訪れた市民はみんな「ケーキ」と一緒に写真を撮ったり、手を伸ばして作品をこすったり引っ張ったりする人もいた。半月もしないうちに、きれいな直方体だった「ケーキ」がゆがんで、溶けそうになった。この作品が地面から1メートル余りの高さにあるところは、くぼんで、作品の中の綿がむき出しになっている。中央美術学院のある学生によると、「ケーキ」を作る綿を引っ張る子どもが多く、子どもの手がよく触れる位置にへこみができたという。

 記者が「ケーキ」の作者である金宵(Jin Xiao)さんに取材をした。「展示初日、一人の子どもに綿の塊を抜き取られた」と、金さんは修復作業をしながらこう述べた。「この作品には半年の制作期間をかけ、ピンセットで少しずつ磨き上げ、直方体の形にしました。壊されるのを見て、私はとても心を痛めました。美術館の中の各作品はすべて学生たちの心血なので、来場者には礼儀正しく見学してもらい、私たち学生の卒業作品を尊重くださるように願います」。

 展示場では、親の熱心な説明を受けながら、芸術を理解しようとする子どもも少なくなかった。しかし、子どもが美術館で大声を出したり暴れたりしても、なかなか制止しない親もいる。子どもが触ってはいけない芸術品を勝手にいじったり、子どものために動画を撮影したりする親もいる。

 展示場の混乱した状況に中央美術学院の学生は黙っていられなくなり、自発的に約200人の見学マナーのためのボランティアグループを組織し、来場者の礼儀正しい見学を促すことにした。

 このボランティア活動の主催者である朱皓月(Zhu Haoyue)さんは、「多くの作品のそばには警戒線が張られて、周りに『触れないでください』というメッセージが貼られているのに、それでも気にしない来場者がいる」と話した。朱さんによると、ボランティアたちは作品と「親密な接触」を試みている子どもたちをよく目にして、保護者が速やかに誘導することを望んでいるという。多くの人により良い姿勢で作品を見てもらうためには、保護者と展示会の管理者の双方が協力しなければならない。

 美術館は徐々に保護者が子どもを連れていく場所の第一候補となり、ますます多くの保護者が子ども連れで、芸術の美を楽しむようになるのは喜ばしいことだ。しかし、まず、子どもたちのマナーある見学のための素養の向上を、保護者が重視すべき必修科目とすべきだろう。(c)CNS-北京日報/JCM/AFPBB News