【6月12日 AFP】国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)は11日、紛争が続くエチオピア北部ティグレ(Tigray)州が飢饉(ききん)に見舞われており、外部からの立ち入りが困難な地域で栄養失調の子ども3万人以上が死亡する恐れがあると警鐘を鳴らした。

 ユニセフのジェームズ・エルダー(James Elder)報道官はスイス・ジュネーブで記者団に対し、「支援拡大のための人道的立ち入りができなければ、外部からの立ち入りが極めて難しい地域にいる推定3万人以上の重度の栄養失調の子どもたちが死亡する恐れがある」と指摘し、ユニセフは他団体と協力してこの危機に対処しているが、ティグレ州の大半の地域に入れずにいると述べた。

 前日の10日には国連(UN)が、ティグレ州の約35万人が飢饉に直面しており、さらに200万人が危機的状況に陥る寸前にいるとの見方を示していた。

 2019年のノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞したエチオピアのアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相は昨年11月、ティグレ州の与党「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」が同州の連邦政府軍の拠点を攻撃したとして、TPLF指導者らを拘束し、武装解除するため軍を現地に派遣した。

 アビー氏は、TPLFとの衝突はすぐに終わると明言していたが、戦闘は半年以上も続いており、レイプなどの残虐行為の報告が急増している。多くの指導者は、破滅的な事態に至ると警鐘を鳴らしている。

 国際援助団体は、エチオピア軍や隣国エリトリアの軍によってティグレ州への立ち入りが拒否されているとして繰り返し抗議している。(c)AFP/Nina LARSON