【6月12日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領が就任後初となる外遊で先進7か国(G7)首脳会議(サミット)に出席する中、米国と中国の外交トップが11日、電話会談でまたしても舌戦を繰り広げた。

 英国で開催されたG7サミットに出席しているバイデン氏に同行したアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官は、中国の外交担当トップの楊潔チ(Yang Jiechi)共産党政治局員と電話会談を行った。両者の会談は、3月に米アラスカ州で対面で激論を交わして以来。

 ブリンケン氏は中国側に対し、新型コロナウイルスの起源に関する調査への協力を改めて強く求めた。国務省の発表によると同氏は、世界保健機関(WHO)の専門家による中国での再調査を認めることをはじめ、「新型コロナウイルスの起源に関する協力と透明性の重要性を強調」した。

 バイデン氏は、2019年末に中国・武漢(Wuhan)で初めて確認された新型コロナウイルスが、動物由来なのか、研究室から流出したのかを8月下旬までに報告するよう米情報機関に命じている。

 一方、中国国営英語放送CGTNによると、楊氏はブリンケン氏に対し、研究所からの流出説は「ばかげている」と述べた。

 中国中央テレビ(CCTV)は、楊氏は「真の多国間主義は、小さな内輪の利益に基づいた見せ掛けだけの多国間主義ではない」と主張し、「真の多国間主義は、国連憲章(UN Charter)と国際法の原則に基づいたものだけだ」とブリンケン氏に伝えたと報じている。

 ブリンケン氏が、中国の収容施設で拘束されているウイグル人やトルコ系言語を話すイスラム教徒らに対してジェノサイド(大量虐殺)が行われているとの米国側の認識について言及すると、楊氏は人権に関する米国の偽善だと改めて非難した。

「米国は国内の深刻な人権侵害を解決するべきであり、いわゆる人権問題を口実に他国の内政に恣意(しい)的に干渉するべきではない」と楊氏は述べた。(c)AFP/Shaun Tandon with Ludovic Ehret in Beijing