【6月10日 AFP】血のつながったバイキングの戦士2人の骨が9日、1000年の時を経て、デンマーク国立博物館(National Museum of Denmark)で「再会」を果たした。骨のDNA解析が、バイキングが欧州各地をどう移動していたかの解明に一役買っている。

 博物館ではこの日、職員2人が2時間以上かけて、英オックスフォードシャー博物館(Oxfordshire Museum)から到着したばかりの20代のバイキングの骨をつなぎ合わせる作業に当たった。全部で150個ある骨は、3年間貸し出される。 

 バイキングの1人は、11世紀のイングランドで20代で死亡した。死因は頭部のけがで、オックスフォード(Oxford)の集団墓地に埋葬されていた。

 もう1人はデンマークで50代で死亡した。骨には打撃の痕があり、戦闘に参加していたことが示唆される。

 2人が血縁関係であったことは、8~12世紀のバイキング時代の骨のDNA解析で、偶然突き止められた。

 デンマーク国立博物館の考古学者、ジャネッテ・バールベリ(Jeanette Varberg)氏は「これは大発見です。時空間の動きを一家族によってたどることができるのです」とAFPに語った。

 歴史家の間では、デンマークのバイキングは8世紀末から英スコットランドやイングランドに侵入したとの見方で一致している。

 バールベリ氏によると、若い方のバイキングは、襲撃で命を失った可能性がある。一方、集団墓地に埋葬されていた骨は、イングランドのデーン人(バイキング)全員の殺害を命じた、イングランド王のエセルレッド2世(Ethelred II)による1002年の国王令の犠牲者のものだとする説もある。

 バールベリ氏によると、血縁関係にある骨の発見は極めてまれだ。

 だが、2人の正確な関係を突き止めるのは不可能だと同氏は説明する。「2人が同時代に生きていたのか、それとも1世代の違いがあるのか、正確な時期を示す物が墓にはないため、特定するのは難しいです」 (c)AFP