【6月5日 AFP】英ロンドンで4日、中国のイスラム系少数民族ウイグル人に対する人権侵害を調べる「ウイグル法廷」が開かれ、目撃者らが拷問や集団レイプなどについて証言した。

 ウイグル法廷は、亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議(WUC)」の求めに応じて設置されたもので、どの国の政府の傘下にもない。

 弁護士や人権専門家など在英の陪審員9人が、1回目の目撃証言の聴取を行った。聴取は2回行われることになっている。12月には、中国がジェノサイド(大量虐殺)を行ったのかどうか判断する報告書の公開が予定されている。

 新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の区都ウルムチ(Urumqi)出身のウズベク人で教師のケリビナル・シディク(Qelbinur Sidik)さんは、中国共産党指導部から、ウイグル人の「再教育」施設2か所で中国語を教えるよう命じられたと証言した。

 強烈な悪臭がする施設に人々が詰め込まれており、一つはウイグル人男性用、一つは女性用だったという。シディクさんによると、「生徒」とされる人々は、数時間の授業の間、手足を拘束具につながれていた。

 シディクさんは、施設に収容されていた女性たちは尋問を受ける時に暴行を受けていたとみられるとし、「拷問だけではなくレイプもあり、時には集団レイプも行われた」と述べた。

 ウイグル女性に対する強制的な避妊手術が日常的に行われており、ある時は女性1人が死亡したという。

 シディクさんは、オランダ在住の娘に会うため、ビザ(査証)の発給を受けて中国を出たが、その前に自身も避妊手術を強制されたと明らかにし、「私が目撃し、自分自身で体験したことを一日たりとも忘れることはできない」と述べた。「私自身も女性であり、娘もいる。このような苦しみを受ける人がこれ以上出ないことを望む」

 カザフスタンから新疆ウイグル自治区の家族を訪問している時に逮捕された、少数民族カザフ人のオムル・ベカリ(Omir Bekali)さんも証言した。

「私は天井からつり下げられた」と言うベカリさんは体中を打たれたと明らかにした。拷問によって父親は死亡し、兄弟には障害が残ったという。

 中国は、「うそをつくる機械」だとして同法廷への参加を拒否した。陪審員らは、証拠に基づき、公正な審理を行うとしている。(c)AFP/Callum PATON