【6月3日 AFP】米北東部マサチューセッツ州のフェリー運航会社が2日、身代金要求型のコンピューターウイルス「ランサムウエア」によるサイバー攻撃を受け、沿岸部の高級住宅地を結ぶフェリーの運航に支障が出た。

 汽船公社(Steamship Authority)によると、ボストン(Boston)近郊のケープコッド(Cape Cod)半島、ナンタケット(Nantucket)島、マーサズビンヤード(Martha's Vineyard)島を結ぶ便に遅れが発生した。

 同社はツイッター(Twitter)で、「レーダーやGPS(全地球測位システム)の機能に影響はなく、フェリー運航の安全に問題はない」が、システム障害によりクレジットカードでの支払いが「制限」されていると説明。フェイスブック(Facebook)でも、「社内で対応を続けており、地元当局、州当局、連邦当局とも引き続き連携していく」と発表した。

 米連邦捜査局(FBI)ボストン支局は、AFPの取材に応じていない。

 一方、ニューヨークの地下鉄やバスを運営する都市圏交通公社(MTA)も同日、4月20日にサイバー攻撃を受けていたことを明らかにした。ただ、影響は軽微で利用者に危険は及ばなかったとしている。

 MTA技術部門トップのラフェイル・ポートノイ(Rafail Portnoy)氏は、運行システムに支障が出たり、利用者・従業員の情報にアクセスされたりした形跡は見つからなかったと述べた。

 米国では数日前に、ブラジルの食肉加工大手JBSの米子会社がランサムウエア攻撃を受け、米国内の業務が一部停止し、オーストラリアでも多数の従業員に影響が出たばかり。

 FBIは一連のサイバー攻撃について、「REvil(別名:Sodinokibi)」というハッカー集団の犯行とみている。専門家によると、ロシアとつながりのあるグループだという。

 米ホワイトハウス(White House)はJBSへの攻撃とロシアの関連を指摘しており、ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は2日、報復の可能性に言及した。(c)AFP