【6月3日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は3日、2028~30年に金星探査機2機を打ち上げる計画を発表した。金星が地球に一番近い惑星でありながら、なぜ地球とは異なり過酷な環境なのかという謎を探る。

 新たに就任したNASAのビル・ネルソン(Bill Nelson)長官は、二つの金星探査計画について「鉛を溶かすことができるほどの表面温度など、金星がどのようにして地獄のような世界になったのか解明することが目的だ」と説明した。

 さらに、「われわれは30年以上金星探査を行っておらず、今回の計画は科学界全体に機会をもたらすことになる」と述べた。

 二つの金星探査計画は、NASAのディスカバリー計画(Discovery Program)の一環で、予算は約5億ドル(約550億円)。共に28~30年の打ち上げを予定している。

 計画は、科学的価値と実現可能性に基づき審査する査読付きコンペにより選ばれた。

 探査計画「ダビンチ+(Deep Atmosphere Venus Investigation of Noble gases, Chemistry, and ImagingDAVINCI+)」では、二酸化炭素を主とする金星の大気成分をさらに調査し、金星の環境の成り立ちを探る。また、金星にかつて海が存在したかどうかも調べる。

 さらに、地球の大陸に類似する「テッセラ」と呼ばれる地形の高解像度画像を、地球に送信する計画。テッセラは、金星にプレートテクトニクスが存在する可能性を示唆している。

 もう一つの探査計画「ベリタス(Venus Emissivity, Radio Science, InSAR, Topography, and SpectroscopyVERITAS)」は、軌道から金星の表面を調べ地図を作成し、地質学的な歴史を調べる。また、火山活動や地震が起きているかどうかについても調査する。(c)AFP