【6月3日 AFP】国連(UN)の国際労働機関(ILO)は2日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に伴う労働時間の大幅短縮と質の高い雇用の喪失により、世界のワーキングプア(働く貧困層)の数が1億人余り増えたとする報告書を発表した。

 ILOは年次報告書「世界の雇用および社会の見通し(World Employment and Social Outlook)」で、コロナ禍で労働市場に起きた危機は終息には程遠いと警告。雇用が以前の水準に戻るのは早くても2023年だとの見通しを示した。

 報告書によると、新型ウイルス流行が起きなかった場合と比べた雇用の減少は今年末に7500万人分に達し、来年末も2300万人分が減少した状態になる見通し。2022年の失業者数は、2019年の1億8700万人を大きく上回る2億500万人に達すると予想される。

 本人とその家族が1日1人当たり3.20ドル(約350円)未満で生活する貧困層および極度の貧困層に分類される労働者は、2019年に比べ1億800万人増加。記者会見したILOのガイ・ライダー(Guy Ryder)事務局長は、労働時間の短縮と社会保障の不足によりワーキングプアが「劇的に」増加したと指摘した。(c)AFP/Nina LARSON