【6月2日 AFP】イタリアで5月31日、著名検事の暗殺や、少年の遺体の酸処理など、数々の残忍な罪を犯して25年間服役していた悪名高いマフィアのボスが釈放され、物議を醸している。

 ジョバンニ・ブルスカ(Giovanni Brusca)元受刑者(64)は、ローマのレビッビア(Rebibbia)刑務所での25年間の服役中、国側の証人として証言した。今後4年間は保護観察に付される。

 全国紙レプブリカ(La Repubblica)は、「ブルスカ釈放──最も非情なボス」と報じた。

 一部の政治家や被害者遺族からは、ブルスカ元受刑者の釈放を非難する声が上がったが、当局への協力を理由に釈放を擁護する声もある。

 中道左派、民主党(Democratic Party)のエンリコ・レッタ(Enrico Letta)書記長(党首)は、「腹にパンチを食らったようだ。言葉も出ない」と述べた。

 反移民、反欧州連合(EU)の右派、同盟(League)のマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)書記長は、ブルスカ元受刑者を「刑務所から出してはいけない野獣」と呼んだ。

 しかし、ブルスカ元受刑者に命を狙われたこともある左派のピエトロ・グラッソ(Pietro Grasso)元上院議長は、「騒ぎ立てることではない」と述べた。グラッソ氏は判事を務めた後、2013年に政界に転身するまで検察当局でマフィア対策の最高責任者を務めた。

 グラッソ氏は、自身の殺害と息子の誘拐を企てていたブルスカ元受刑者への同情はほとんどないと前置きした上で、国家に情報を提供した者の刑期を短縮することは正しいと強調した。

 さらに、フェイスブック(Facebook)で、「刑法やマフィアとの闘いについてほとんど理解していない多くの政治家の憤りが怖い」と述べた。「国家に協力すれば刑期が大幅に短縮され、協力しなければ減刑のない終身刑を科されると思わせることが必要だ」 (c)AFP