【6月2日 AFP】マレーシア沖の南シナ海(South China Sea)で5月31日、同国軍が中国軍機16機に対し戦闘機を緊急発進(スクランブル)させる異例の出来事があった。マレーシア外務省は1日、中国軍機の「侵犯」行為を非難した。

 南シナ海は、両国が領有権を主張する係争海域。中国軍機は、ボルネオ(Borneo)島のマレーシア領土沖上空を飛行した。

 マレーシア空軍の発表によると、中国空軍の輸送機が「戦術的な編隊」飛行でマレーシア領空に接近し、沿岸から約60カイリ(約110キロ)以内を飛行。マレーシア側は輸送機をレーダーで探知し、何度か交信を試みたものの、中国機が引き返さずに接近を続けたため、識別のために戦闘機を緊急発進させた。その後、中国機は飛び去った。

 マレーシア空軍は、中国軍機の出現は「不審」なものだったと指摘。領空への侵入はなかったが、マレーシアのヒシャムディン・フセイン(Hishammuddin Hussein)外相は同国の「海域」上空を飛行したとして、「侵犯」行為だと非難。抗議のため中国大使を外務省に呼び、「マレーシア空域と主権に対するこの侵害行為についての説明」を求める方針を明らかにした。(c)AFP