【5月29日 AFP】カナダの先住民の代表が、先住民を同化させる目的で100年以上前にブリティッシュコロンビア(British Columbia)州に建てられた寄宿学校の跡地から215人の子どもの遺骨が発見されたと明らかにした。

 先住民、トゥカムループス ・トゥ・ セフウェップェンフ(Tk'emlups te Secwepemc)のコミュニティーは、ブリティッシュコロンビア州カムループス(Kamloops)近くにある学校跡地で専門家による地中レーダーを使った捜索を行ったところ、この学校に在籍していた子どもたち215人の遺骨が確認されたと今月27日に発表した。

 コミュニティーの代表を務めるロザンヌ・カシミア(Rosanne Casimir)氏は、3歳の子どもの遺骨も見つかったとして、「想像を絶する犠牲だ。口づてでは聞かされてきたが、(学校の管理者によって)記録されることは一度もなかった」と述べた。

 同氏によれば、予備調査の結果は、来月に報告書で発表される。

「カムループス・インディアン・レジデンシャル・スクール(Kamloops Indian Residential School)」は、19世紀後半に設立された139の寄宿学校の中では最も大きく、一度に最大500人の生徒が在籍し、1890年から1969年まで、カナダ政府の意向でカトリック教会が運営していた。

 こうした学校に強制的に入学させられた北米先住民やイヌイット、メティス(白人と先住民との間に生まれた人)の子どもたちは合計で約15万人に上り、校長や教師から肉体的・性的に虐待され、文化と言語を奪われた。

 今日では、このような経験が要因となり、先住民社会では貧困率と自殺率が高く、アルコール依存症やドメスティックバイオレンス(DV)が多いとされている。(c)AFP