【5月29日 AFP】女子テニス、世界ランキング2位の大坂なおみ(Naomi Osaka)が今年の全仏オープンテニス(French Open 2021)で記者会見をボイコットすると表明したことを受けて、ローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)の男子シングルスで通算13回の優勝を誇るラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)は28日、メディアの存在なしでは「自分たちは現在のようなアスリートではいられないだろう」との認識を示した。

 通算4度の四大大会(グランドスラム)制覇を達成している大坂は先日、今年の全仏オープン期間中にはメディア対応を全て拒否すると明らかにして物議を醸した。理由は恒例となっている試合後の会見で「落ち込んでいる人間を踏みにじる」ような質問をされ、精神衛生に影響が出る不安があるためと説明。しかし、この動きに関しては他の選手から次々と疑問の声が上がり、同選手は徐々に孤立し始めている。

 グランドスラムで通算20回の優勝を記録しているナダルは、大坂の決断を尊重するとしながらもメディア報道がスポーツの成功に貢献しているとの考えを示し、「彼女の言い分は理解できる。だけど自分としては、報道陣や世界中で僕らに関するニュースや功績を記事にしてくれる人々がいなければ、自分たちは現在のようなアスリートではいられないだろう」と話すと、「(メディアなしでは)自分たちが今のように世界中で認識されることはないし、これほど人気も出ないはずだ」とコメントした。

 30日に開幕する全仏オープンで記者会見を欠席するごとに2万ドル(約218万円)の罰金を科される可能性がある大坂の決断に対し、最大のライバルで2019年大会女王のアシュリー・バーティ(Ashleigh Barty、オーストラリア)は、メディア対応も仕事の一部であり「自分たちはプロのテニスプレーヤーとして契約していることを承知している」と前置きした上で、「ナオミの感情や決断についてはコメントできない。もちろん、記者会見がつらいときもあるけれど、それで思い悩んだりすることはない」と話した。

 さらには「質問に答えるときに困ったことは一度もなく、気持ちが過度に動揺するようなこともない」とし、「自分の発言や、記者から何かを聞かされたり質問されたりすることで、夜眠れなくなりはしない」と語った。

 23歳の大坂とは親しい間柄で、31日に20歳の誕生日を迎える前回女王のイガ・シフィオンテク(Iga Swiatek、ポーランド)も、会見では喜んで話しているといい、「全員がプロのアスリートではないし、私たちがコート上でどのようなことに対処しているのか誰もが知っているわけではないから、(記者会見は)重要だと思う。話して分かってもらえるのは良いこと」とコメント。その一方で、「悪意のある言葉などから遠ざける」サポートシステムを構築することも大切だと訴えた。(c)AFP