【5月26日 AFP】東京五輪のオフィシャルパートナーでもある朝日新聞(Asahi Shimbun)が26日、新型コロナウイルスが流行する中での大会は「健康への脅威」だとして、菅義偉(Yoshihide Suga)首相に対して「冷静に、客観的に周囲の状況を見極め、今夏の開催の中止を決断するよう」求める社説を掲載した。

 大会関係者は安全、安心な五輪の開催はできると繰り返しているが、世論調査では五輪の中止もしくは延期を求める声が過半数を占め、世論の風当たりは強まり続けている。

 その中で朝日新聞は、五輪開催という「賭けは許されない」とし、さらに国際オリンピック委員会(IOC)幹部を批判。緊急事態宣言下での五輪開催は間違いなく可能と述べたジョン・コーツ(John Coates)副会長の発言を例に、「国民の感覚とのずれ」を指摘し、「明確な根拠を示さないまま『イエス』と言い切るその様子は、IOCの独善的な体質を改めて印象づける」と主張した。

 五輪開幕までは2か月を切り、25日にはジェン・サキ(Jen Psaki)米大統領報道官が「われわれの立場は変わらない」と開催を支持する姿勢を示したものの、その前日には米国務省が新型コロナウイルス流行の悪化を理由に日本への渡航中止を勧告した。

 野村総合研究所(Nomura Research Institute)も、五輪を中止した場合の損失は1兆8000億円との試算を出した一方で、開催をきっかけに感染が拡大し、緊急事態宣言が再び出れば、その経済損失の方が大きくなると警告している。(c)AFP