【5月26日 AFP】米議会で現在ほとんど意見の一致を見ない民主党と共和党が25日、新型コロナウイルス対策のマスク着用義務化を、第2次世界大戦(World War II)中にナチス・ドイツ(Nazi)がユダヤ人に着けさせた黄色い星と同一視する発言を繰り返した議員を超党派で強烈に非難した。

 非難の的となったのは、陰謀論を広めて物議を醸している共和党のマージョリー・テイラー・グリーン(Marjorie Taylor Greene)下院議員。今回は新型コロナワクチンの接種を完了した従業員の名札に接種完了のマークを付けさせている企業について、「まるでナチスがユダヤ人に金の星を着けることを強制しているようだ」とツイッター(Twitter)に投稿するなどした。

 グリーン氏はまた、「ワクチンパスポートとマスクの義務化は、99%死ぬことのないウイルスに対して、自身の免疫系を信頼している未接種者への差別を生み出す」ともツイートした。

 昨年ジョージア州から初めて下院議員に選出されたグリーン氏は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領の熱烈な信奉者で、昨年の大統領選は民主党が不正で勝ち取ったという根拠のない主張を広めている。

 今回の論争は、グリーン氏が23日に保守系のポッドキャストで、ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長(民主党)が連邦議会におけるマスク着用義務を継続すると決定したことを、ナチスのユダヤ人に対する措置になぞらえたことから始まった。

 グリーン氏に対し、ペロシ氏ら民主党議員からグリーン氏は議員にふさわしくないとの声が上がったほか、共和党のケビン・マッカーシー(Kevin McCarthy)下院院内総務、ミッチ・マコネル(Mitch McConnell)上院院内総務も非難した。

 しかし、グリーン氏は反発。米国市民を差別しているのは「社会主義」の左派だとして、「ワクチン接種を受けない、マスクをしないという選択をした米国人をおとしめ、排除し、烙印(らくいん)を押そうとする彼らの試みは、自らに従わない者に対して同じように振る舞った歴史上の暴君たちをほうふつとさせる」と主張した。(c)AFP