【5月25日 AFP】フランス政府が夜行列車の復活を推し進める中、先週、首都パリとニース(Nice)を結ぶ寝台列車がよみがえった。

 復活した寝台特急はパリ-ニース間を毎日運行される。約1088キロの旅には、高速鉄道TGVの倍の時間を要する。

 ジャン・カステックス(Jean Castex)首相も20日から21日にかけて乗車。列車は12時間の走行中、地中海を望む南仏コートダジュール(French Riviera、フレンチリビエラ)沿いに6回停車した。

 パリ-ニース間の運賃は、TGVが片道100ユーロ(約1万3000円)以上かかるのに対し、寝台列車は29ユーロ(約3800円)。フランスを縦断する列車の旅を誰もが楽しめることを目指している。

 現在は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、一室の定員が4人までとなっている。

 寝台列車の復活は、TGVによる鉄道旅行を開拓したフランスにとって大きな転機となる。

 政府は2017年、他の選択肢があるすべての路線で、高い維持費を理由に寝台列車を廃止。パリ-ニース間もその中に含まれ、残るはパリとアルプス山脈(Alps)のブリアンソン(Briancon)、ピレネー山脈(Pyrenees)のセルベール(Cerbere)を結ぶ2線の寝台列車のみとなった。

 しかしエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)政権は昨年、方針を一転。53億ユーロ(約7030億円)規模の鉄道計画の一環として、夜行列車の復活を発表した。

 フランス国鉄(SNCF)のクリストフ・ファニシェ(Christophe Fanichet)最高経営責任者(CEO)は運行再開について、運賃の安さや「二酸化炭素(CO2)の排出量を気に掛ける若年層」をターゲットにしていると語った。

 オーストリアやスウェーデンをはじめ欧州では、寝台列車の旅が再びトレンドとなっている。

 スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さん(18)は、飛行機に乗ることを環境破壊への加担と捉える「フライトシェイム」という考え方を提唱した。トゥンベリさんは環境会議に出席する際、飛行機ではなく夜行列車を利用することを大切にしている。

 映像は20、21日撮影。(c)AFP/Taimaz SZIRNIKS and Clare BYRNE in Paris