【5月22日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)は21日、東京五輪において乾燥血液スポット(DBS)検査を試験導入することを明らかにした。この革新的な新技術は、薬物違反との闘いにおける「ゲームチェンジャー(状況を一変させるもの)」として大いに期待されている。

 バーチャル形式で開かれたWADA理事会が終了した後、同機関のウィトルド・バンカ(Witold Banka)会長は、この新しい検査方法が現行の技術を補完するものになるとの認識を示した。

 指先から少量の血液サンプルを採取して専用の台紙に染み込ませるこの検査が、反ドーピングの新時代を切り開き、より多くのアスリートを対象としてより多くの検査を実施できるとしたバンカ会長は「アスリートと反ドーピング機関の双方に、非常に大きなプラスのインパクトを与える可能性がある」とし、「反ドーピングにおいて、ゲームチェンジャーになると確信している」と述べた。

 今夏に延期された東京五輪でもこの新しい検査方法が試験運用される見通しとなる中、各検査機関はこの技術が来年2月に開催される北京冬季五輪と冬季パラリンピックでも「常用」できることを期待している。

 WADAによると、DBSによる検査は不安定な化合物の分析にも大いに役立ち、活動拠点が遠方でこれまでのやり方では検体の輸送が困難になることが多いアスリートの検査も容易になるという。

 バンカ会長は「物流面とコスト面の利便性を踏まえると、DBSによって検査機関は対象となるアスリートの人数と回収する検体の個数を増やすことができるようになる」と述べ、反ドーピングにとって「素晴らしい前進」と表現した。

 一方、WADAの科学部門で責任者を務めるオリバー・ラビン(Olivier Rabin)氏は、DBSによる検体の回収費用についても、これまでより削減できるとしている。(c)AFP