【5月21日 AFP】南米チリで、新憲法を起草する「制憲議会」(155議席)の選挙が15、16日に行われ、女性候補者がめざましい健闘を見せた。だが、男女の機会均等の試みとして導入されたクオータ制により、かえって男性候補に有利な選挙結果となったことが分析から分かった。

 今回の制憲議会選では、候補者1300人超の半数を女性とし、議席も半分を女性に割り当てるクオータ制が導入された。

 当初は誰も、女性候補らがクオータ制を必要としないほどの躍進を見せるとは予想しなかったようだが、ふたを開けてみると、議席の半数を上回る84人の女性が当選した。

 しかし、クオータ制によって議席の男女均等を確保するための「ジェンダー補正」が必要となり、有権者に選出された女性候補に代わって、男性候補7人が議席を獲得。この結果、男性議員は78人となり、女性議員77人よりも1人多くなった。

 同じく先週末に実施された地方選ではクオータ制は導入されず、女性候補の当選率は知事選で16%、市長選で23%、地方議員選で39%だった。
 
 政治学者のパメラ・フィゲロア(Pamela Figueroa)氏は、制憲議会選の結果について、「女性は(選挙の候補者として)適格でないとか、競争力がないという神話を打ち破った」と語った。問題は、政党が女性を候補者に擁立しない点にあった。

 チリは保守的な国で、たとえば人工妊娠中絶は長年、全面的に禁止されていた。2017年にようやく、レイプ被害に遭った場合や健康上のリスクがある場合の中絶が認められ、今年になって選択的中絶が合法化された。(c)AFP