【5月20日 AFP】ブラジルの最高裁判所は19日、アマゾン(Amazon)熱帯雨林で違法伐採された木材の密輸に関与した疑いで、リカルド・サレス(Ricardo Salles)環境相(45)の捜査を命じた。警察は同日、首都ブラジリアや北部パラ(Para)州などで環境省のオフィスを家宅捜索した。

 捜査対象となっている木材密輸の策略には、サレス氏以外にもジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)政権高官の関与が疑われている。

 アレシャンドレ・ジモラエス(Alexandre de Moraes)最高裁判事は、サレス氏と環境省の複数の職員が「熱帯雨林産品の密輸を助長する極めて深刻な陰謀」に関与した証拠を連邦警察がつかんでいると述べた。

 最高裁の命令を受け、環境省傘下のブラジル環境・再生可能天然資源院(IBAMA)のエドゥアルド・ビム(Eduardo Bim)院長ら10人が職務停止処分となった。最高裁はまた、違法な資金の流れを追跡するためサレス氏の銀行口座情報を警察に開示することも認めた。

 ブラジルのメディアによると、警察はサンパウロ(Sao Paulo)にあるサレス氏の自宅も家宅捜索した。

 気候変動対策のカギを握るアマゾンでは、2019年にボルソナロ大統領が就任して以降、急速に森林破壊が進んでいる。サレス氏は、ボルソナロ政権でも特に物議を醸す人物の一人で、アマゾン熱帯雨林の伐採拡大政策を統括してきた。環境活動家らは、ブラジルの環境保護政策からサレス氏を排除するよう求めていた。

 IBAMAは、2019~20年に環境規制に違反していた数千件の木材輸出について、木材輸出業者に課せられた要件を免除し、後から輸出許可を与えたとされる。違法に輸出された木材の一部は、米国や欧州で当局に押収されている。

 サレス、ビム両氏は押収された木材の輸出業者3社の代表らと面会しており、その後、IBAMAは内部の反論を押し切ってこの手続きを制度化した疑いがある。(c)AFP/Jordi MIRO