【5月20日 AFP】中国南部・深セン(Shenzhen)で19日、前日突然揺れ出し、パニックを引き起こした超高層ビルの調査が行われた。ネット上では手抜き工事が原因ではないかと懸念する声も出ている。

 このビルは、2000年に完成した高さ約300メートルの「賽格広場(SEG Plaza)」。中国屈指の急成長都市である深センの中心部、福田(Futian)区に位置し、大手家電製品店やさまざまなオフィスが入居している。

 ビルは18日午後1時ごろに揺れ始め、屋内にいた人々も建物前の歩道を歩く人も避難した。

 緊急管理当局は、同市では地震は起きていないとして、揺れの原因から地震を除外した。

 当局者らは19日夜、18日夜からビルを監視しているが、高層建築物の建築基準を超える揺れは起きていないと明らかにした。

 福田区は、専門家の調査結果として、「ビルの主要構造や周辺環境に安全面での異常は確認できなかった」と発表した。

 国営メディアによると、避難が行われた頃には揺れは収まっていた。ビルへの立ち入りは引き続き禁止されている。

 建築基準が緩く、近年都市化が急速に進む中国では、急造された建物も多く、ビルの倒壊は珍しくない。

 建築基準の不備は、昨年に南部で新型コロナウイルス感染が疑われる人の隔離施設として使われていたホテルが倒壊した事故のように、地方公務員の汚職と結び付けられることも多い。

 ビルの揺れが報じられるとソーシャルメディアは即座に反応。中国版ツイッター(Twitter)「微博(ウェイボー、Weibo)」ではこの話題のハッシュタグが7億8000万回閲覧され、建築基準に不安を抱く人々が数十万件のコメントを寄せた。

 あるユーザーは、「深センはこの揺れるビルを二度と使うべきではない。解体すべきだ」と書き込んだ。別のユーザーは、「現代の都市で、こうした高層ビルの品質は保証されていない」とコメントした。(c)AFP