■14〜18歳の約1%がヘロイン使用

 ケニア南部のモンバサ(Mombasa)は、主要な到着港となった。同国は政情が不安定な東アフリカ地域で治安の指標となっているが、腐敗がはびこり、監視が行き届いていない。

「麻薬密売人らは、ケニアをこの地域で最も頼れる国の一つと見なしている」と語るのは、国連薬物犯罪事務所(UNODC)東アフリカ地域の元ディレクター、アマド・デ・アンドレス(Amado De Andres)氏だ。

 東アフリカに陸揚げされたヘロインは、UNODC推定で年間42トン。その大部分は遠方の市場向けだったが、しばらくするうちに地元の関心も高まり、密輸業者は5トン程度を東アフリカでの販売用に確保するようになった。同地域のヘロイン需要は拡大し、市場規模は1億5000万ドル(約160億円)に達した。大半がケニアの買い手だった。

「ケニアは、以前はヘロインの輸送ルートの一つだったが、急速に最終目的地になった」と、同国政府の薬物乱用防止全国運動局(NACADA)の代表を務めるビクター・オキオマ(Victor Okioma)氏は言う。

 ケニア保健省の2018年の推計によると、吸引や注射によるヘロイン使用者は2万7000人に上るが、調査対象となったのはカウンティ(自治行政区)の3分の1だ。スイス・ジュネーブのNGO、国際組織犯罪対策会議(Global Initiative Against Transnational Organized Crime)は、注射による使用者だけで5万5000人はいるとみている。

 NACADAによると、人口約5000万人のケニアで、ヘロインは薬物としてマリフアナ(大麻)に次いでよく使用されている。

 オキオマ氏によると、14〜18歳の青少年のうち約1%がヘロインの使用を認めている。小学生の使用者もいるという。