【5月23日 AFP】地中海に面したリビアの都市ベンガジ(Benghazi)は、2011年の革命が始まった地であり、一時はイスラム過激派の拠点となっていた。この街のモーターサイクルクラブのメンバーは今、内戦で荒廃したこの国の新たな一面を紹介しようとエンジンをフル回転させている。

 クロムメッキの輝く車体、うなりを上げるエンジン。レザーを着た愛好家らが数十台の大型バイクで、風吹きすさぶベンガジのアスファルトを切り裂く。

「ベンガジ・モーターサイクルクラブ(Benghazi Motorcycles Club)」の本部から次々と現れたのは、ハーレーダビッドソン(Harley-Davidson)、ホンダ(Honda)、カワサキ(Kawasaki)製のバイクだ。

 メンバーにとって、バイクは単なる情熱の対象ではなく、この街を別の角度から描くための手段でもある。分断と暴力とは違うリビアの普段の姿を伝えたいと思っているのだ。

「戦う者もいれば、情熱を持っている者もいる」と、長髪に濃い顎ひげを生やした会長のアハメド・フィトゥリ氏(Ahmed al-Fitouri)は語る。

「フランスと英国のクルーに撮影をしてもらっている。私たちは、リビア人全員が戦っていたり、犯罪者だったりするわけではないということを伝えてきた」

 ハンドルに手をかけ、2台ずつ横に並んでベンガジの路地や大通りを走る。戦闘で破壊されたビルの前を通り過ぎる一団を眺める人。撮影する人。車のドライバーが鳴らすクラクションが響き渡る。

 2014年に創設されたモーターサイクルクラブには、120人の会員がいる。長きにわたって独裁体制を敷いた故ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐が失墜してから3年後、ベンガジの支配をめぐる2回目の戦闘の最中に、アマチュアのグループによって結成された。

 当時はイスラム過激派の民兵がはびこり治安が悪かったが、そうした時期もメンバーは街を行進していた。(c)AFP/Mohammed Elshaiky