■若かりし日の自分に「良くなるから」

「T5」は徐々に、文章を写す作業では1分間に90文字(約18単語)、質問に答える作業では1分間に74文字(約15単語)を打ち出すことができるようになった。

 カーソルの「ポイント・クリック」によるシステムで生み出せる文字数は、1分間当たり最大40文字だ。

 エラーについても、スマートフォンにあるようなオートコレクト機能を追加すれば、1~2%に削減できると論文著者らは言う。

 ただ、研究対象は1人だけであり、また、年齢の進行に伴う脳活動の変化にチップがどう適応するかの研究も必要だ。

 ウィレット氏はこれらの課題を認識しつつも、この技術が「数十年以内ではなく、数年以内」に実用化できるとの希望を持っている。

 訓練を積むことで、「T5」は心に訴えるような思いを表現する機会を得ることができた。例えば、若かりし日の自分に対する助言だ。

「辛抱強く待て。良くなるから」 (c)AFP/Sara HUSSEIN