【5月13日 AFP】中国は12日、新型コロナウイルスワクチン50万回分をバングラデシュに寄付した。新型コロナの大流行で対応に苦慮するインドがワクチン輸出を禁止し、生じた不足分を中国が埋める形だ。

 インドは、大きな影響力を持つ南アジア諸国をはじめ数十か国に新型コロナウイルスワクチンを輸出していた。しかし、3月になり国内の新規感染者数が急増したことを受け、輸出を停止した。

 バングラデシュ政府はインドから3000万回分のワクチンを購入することになっていた。だが、インドが輸出を停止するまでに届いたのは購入した700万回分と、寄付された330万回分にすぎない。

 バングラデシュの首都ダッカの空港で開かれた式典で、中国医薬集団(シノファーム、Sinopharm)製ワクチンを、中国大使から受け取ったザヒド・マレク(Zahid Maleque)保健家族福祉相は、「まさに、まさかの時の友こそ真の友だ」と述べた。

 中国は、先月開催されたインドを除く南アジア諸国とのビデオ会議で、ワクチンや医療物資の提供を表明していた。

 バングラデシュはワクチン接種計画について、ワクチン不足のため1回目の接種を終えた人にのみ接種を認める方針に転換していた。

 同国の保健当局はAFPに対し、中国製ワクチン5000万回分を調達する計画だと明らかにした。マレク氏は報道陣に、これらのワクチンは中国から購入するか、国内で生産する計画だと語った。

 これより先にアブドル・モメン(Abdul Momen)外相はAFPに、バングラデシュはロシア製の新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV(Sputnik V)」の輸入について、ロシアと交渉中だと明らかにしていた。

 モメン外相は、「中国は近年、バングラデシュの偉大な友人になった。両国関係はさらに良くなるだろう」と述べている。

 一方、ネパールは11日、中国が提供を約束した酸素ボンベ2万本のうち第1弾となる400本と医療物資を引き取るため航空機を中国に送った。

 中国はさらに、新型コロナウイルス感染者が急増しているネパールに、ワクチン80万回分を提供している。

 スリランカはインドからのワクチン納入が止まった後、中国から受け取った60万回分の接種を始めている。モルディブは20万回分を受け取った。(c)AFP