【5月14日 CNS】上海市のある名門中学に通う小鵬さんは、「手の動きが最も速い」年齢でゲームキャスターになるため、親からネットを切られて4回もハンガーストライキをおこしたことがある。直近1回は50時間も部屋に閉じこもった。

 上海市公安局虹口支局嘉興路派出所の警察官、陳梁順(Chen Liangshun)さんは、ほとんど毎日保護者から助けを求められている。彼は小鵬さんが学業に戻って、市の重点高校に合格するのを手伝ったため、突然「インフルエンサー警察官」になった。助けを求めるショートメールや、微信(ウィーチャット、WeChat)メッセージ、電話が次から次と入ってくる。地方の保護者からの求めも少なくない。

「私が出会ったゲーム少年は、ほとんどがeスポーツキャスターになりたがっている」と、陳さんは述べた。

 陳さんによると、小鵬さんのような一部のゲーム少年は知能指数(IQ)が高いという。最近、数十人のゲーム少年とその保護者と接触した結果、IQが高く、社会的認知度が低いこれらの青少年にとって最も欠けているのは「キャスター退出勧告講義」だということが分かった。

 eスポーツの総合運営会社「英雄体育(VSPN)」の共同創業者兼COOの鄭奪(Zheng Duo)さんは、eスポーツ業界の「首席退出勧告官」だ。鄭さんは北京大学(Peking University)を卒業したエリートで、現在、中国伝媒大学(Communication University of China)のeスポーツ専攻科目の客員教授を務めている。彼が開設した「eスポーツ概論」などeスポーツ専門の必修科目は、単なる「ゲームをする」ことをはるかに超え、eスポーツ業界大会の組織、内容制作、宣伝放送、商業化などのコアモジュールに向け、生徒に未知の「キャリアの発展余地」を紹介する。

 鄭さんは普段友人から助けを求める電話がたくさんかかってくる。「ほとんどは子どもがゲームに夢中になっているので、eスポーツ企業が何をしている会社なのか見させてほしい」という。

 RNG電子競技クラブの英雄連盟戦隊の責任者の阮琛(Ruan Chen)さんは、eスポーツ業界従事者の年齢は通常14歳から25歳の間で、黄金期は15歳から20歳の間となる。この年齢層では、まだ中学、高校、大学に通っている者が多いため、eスポーツ業界に入るということは、学業放棄を意味すると語った。

「eスポーツをライフワークにしてもいいと思っている人が多いが、この業界の淘汰(とうた)率は非常に高い」という。

 eスポーツ企業で働くことは可能なのか?この問いに対し、鄭さんは自社のデータを示してくれた。鄭さんの英雄体育プラットフォームは、2016年の設立以来、7人から1500人に成長した。毎年600人を採用し、400人程度を淘汰(とうた)しているという。

 前瞻産業研究院のデータによると、新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年1月から3月にかけ、中国のトップゲーム中継プラットフォームのキャスター数は増加し、同年3月にピークに達し、キャスター数は433万7000人にのぼった。しかし、同年4月から6月にかけて、キャスター数は徐々に減少し、6月には303万9000人となった。

 上海騎鯨客文化伝播創始者の王霆 (Wang Ting) さんは、公益課程で多くのeスポーツキャスター志望の青少年に対して、「退出勧告」をした。王さんは「いままで約300人をトレーニングした。多くの若者は、一見簡単に見えるライブコマースやeスポーツの生中継の裏に、とても多くの細かなことがあることを知らない。多くの若者は覚悟がないのに、盲目的にこの業界にやってきたのだ」と記者に語った。(c)CNS-中国青年報/JCM/AFPBB News