■「湖は生きている」

 サルダ湖で最もよく知られているのは、ホワイトアイランズ(White Islands)地区に広がる見事な砂浜と、ここに生息する固有種の動植物だ。

 さまざまな起源を持つ鉱物も存在する。そのうちの一つ、ハイドロマグネサイト(水苦土石)は、火星のジェゼロ(Jezero)クレーターで検出された炭酸塩鉱物に似ていると、NASAは考えている。パーシビアランス探査車は現在、かつて湖だったこのクレーターの調査を進めている。

 NASAによると、サルダ湖の湖岸線に沿ったハイドロマグネサイトの堆積物は「微生物の作用によって形成される『マイクロバイアライト(微生物岩)』と呼ばれる大きな塊状堆積物が浸食されたものだと考えられる」という。

 これはすべて、太古の火星に微生物の形態で存在した可能性のある生命体に関する謎につながっている。

 サルダ湖のように地殻変動で形成された構造湖は世界各地に多数ある。

 だが、サルダ湖が特異なのは、独自の生命機構を持つ閉鎖生態系に変容した点だと、地質工学者のセルベト・チェブニ(Servet Cevni)氏は指摘する。

 チェブニ氏は、AFPの取材に「湖は生きているので、外部からの介入に対して非常に敏感だ」と語った。

 外部からの介入はすでに進行中だ。湖畔に建設予定の市民公園の近くには、9棟の小さな建物が出現している。ホワイトアイランズの白砂の一部は、「ピープルズ・ビーチ」と呼ばれる別の場所の道路建設のためにすでに移動されている。サルダ湖保全協会が緑地計画の中止を求めて起こした訴訟は棄却された。

 一方で、ごみや外来生物と一緒に現金をもたらす観光客を、サルダ湖周辺の地元住民らは歓迎している。

 スレイマン・キリカン(Suleyman Kilickan)さん(60)が働いていた屋外席を多数備えた湖畔のカフェは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)以前、30人を雇用していた。

「観光があれば生活ができます」とキリカンさん。観光客に責任を持って行動させる重要性を強調しながら「観光を後押しするつもりです」と語った。

 2019年には150万人近くがサルダ湖を訪れ、新型コロナウイルス流行下の昨年も外出制限の緩和期間中に80万人が訪れた。

 トルコの環境省は3月、ホワイトアイランズ地区への観光客数を年間57万人に制限すると発表した。

 だが、トルコ・ブルドゥル法律家協会(Burdur Bar Association)環境委員会のナズリ・オラル・エルカン(Nazli Oral Erkan)氏は、湖を守るには今回の制限案では不十分だと断じた。「サルダ湖は自然の博物館のようなものです」とエルカン氏は言った。(c)AFP/Raziye Akkoc