【5月10日 AFP】(更新)中国のサファリパークから先月中旬、ヒョウ3頭が脱走していたことが明らかになり、うち1頭の捜索が現在も続けられている。茶畑を歩き回るヒョウの写真や映像がインターネットに投稿されて大騒ぎになるまで、サファリパーク側が3週間近くにわたり脱走の事実を公表していなかったことや、残酷な捕獲方法をめぐって、批判が噴出している。

 ヒョウが脱走したのは東部の杭州(Hangzhou)にあるサファリパーク。地元住民が7日にヒョウ1頭を目撃し、通報したことで初めて脱走が発覚した。

 サファリパーク側は、逃げたヒョウはいずれもまだ幼体であり、パニックが起きるのを防ぐために公表を遅らせたと釈明した。だが、猛獣の脱走を許したことや、直ちに注意喚起せず住民を危険にさらしたことをめぐり、インターネットで猛烈な批判を浴びている。

 地元当局は10日、警察が総支配人を含むサファリパーク関係者5人の身柄を拘束し、脱走の経緯を捜査していると発表。警察はその後開いた記者会見で、ヒョウ3頭は先月19日、従業員の安全規定違反が原因で脱走したと明らかにした。違反行為の内容は不明。

 サファリパークはその2日後、3頭のうち1頭を捕獲。もう1頭は今月7日、政府機関も参加して行われた大規模な捜索により捕獲された。

 中国メディアによると、9日に新たなヒョウの足跡が見つかり、捜索隊が犬やモーターパラグライダーなどを投入して最後の1頭の行方を追っている。

 警察当局によると、サファリパークは今月1日からの労働節(メーデー、May Day)の連休での客入りに影響することを恐れ、ヒョウが脱走したことを公表しなかった。先週には地元住民からヒョウ目撃情報が寄せられ始めたが、サファリパーク側は事情聴取を受けて初めて脱走の事実を認めた。

 サファリパークに対する世論の怒りは、逃げたヒョウを捕獲する様子を捉えた動画が浮上したことで、さらに高まった。ある動画には、少なくとも5匹の犬がもがくヒョウを押さえつけ、首にかみつく様子が映っていた。このヒョウは、ほぼ成体に見える。

 また、中国国営テレビが週末に報じた別の動画では、捕獲されたヒョウの片方の後ろ足がなくなっているのが確認できる。このヒョウは傷ついたばかりのようだが、包帯すら巻かれていない状態だった。SNSの微博(ウェイボー、Weibo)には、「これが保護動物に対する扱いか」と怒りの投稿が相次いでいる。

 サファリパークは捕獲された1頭だとして、おりに入れられたヒョウの写真も公開したが、ソーシャルメディア上には写真の真偽や撮影時期を疑問視する声があふれている。(c)AFP