【5月10日 AFP】(更新、写真追加)中東エルサレム(Jerusalem)のイスラム教の聖地アルアクサ・モスク(Al-Aqsa Mosque)周辺で7日以降、パレスチナ人とイスラエル治安部隊との衝突が連日続いている。現地のAFP特派員によると、10日もモスクで祈っていた信者らと警官隊の間で大きな衝突が起き、数百人の負傷者が出ているという。

 2017年以来最悪の衝突の背景には、イスラエルの占領下にある東エルサレムのシェイク・ジャラ(Sheikh Jarrah)地区に住むパレスチナ人らに対し、ユダヤ人入植者らが立ち退きを要求していることがある。最高裁で10日に審理が行われる予定だったが、衝突を受けてイスラエル司法省は9日、延期を発表した。下級審は入植者側を支持し、パレスチナ人の間に怒りが広がっている。

 赤新月社(Red Crescent)は、7日と8日の2日間でパレスチナ人300人以上が負傷し、ゴム弾や閃光(せんこう)発音筒によるけが人もいると発表した。また、国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によれば、東エルサレムではこの2日間で1歳児を含むパレスチナ人の子ども29人が負傷し、8人が逮捕された。

 9日夜にも東エルサレム(East Jerusalem)でパレスチナ人の若者らと警察部隊の衝突が相次いだ。

 イスラエル政府は9日、秩序を取り戻すと約束した。だが、今回の事態をめぐっては、特に7日のアルアクサ・モスクの敷地内の衝突でのイスラエル側の対応に対し、各方面から批判の声が上がっている。

 イスラエルと国交のあるアラブ諸国6か国は、エジプト、ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、モロッコ、スーダンの全てがモスクにおけるイスラエルの武力行使を非難。ヨルダンとエジプトの外務省は9日、それぞれイスラエル大使を呼んで抗議した。

 チュニジアは、今回の衝突に関する国連安全保障理事会(UN Security Council)会合の開催を要請したと明かした。

 10日には、イスラエルが1967年の第3次中東戦争(Six-Day War)でエルサレムを占領したことを記念するパレードが予定されており、現地の緊張感は高まっている。国際社会はイスラエルによる東エルサレム併合を承認していない。

 今回の衝突の影響はパレスチナ自治区の各地に広がり、ヨルダン川西岸(West Bank)の占領地でも抗議デモや衝突が起きている。(c)AFP/Guillaume Lavallee, Daniella Cheslow