【5月7日 AFP】ハンガリーの首都ブダペストに、中国有数のエリート大学である復旦大学(Fudan University)のキャンパスを建設する計画が進んでいる。

「地元の誰も賛成していないのに、マンモス大学を造ろうとしている」

 建設予定地のドナウ(Danube)川沿いの工場跡地で、地元行政区のバラニ・クリスティーナ(Baranyi Krisztina)区長はAFPにこう述べ、オルバン・ビクトル(Orban Viktor)首相率いる政府との対決姿勢を鮮明にした。

 今は荒れ放題のこの場所に、上海の復旦大学が欧州初のキャンパスを2024年までに開設する計画は、ハンガリー政府と復旦大学側とが先週交わした合意によって明らかになった。施設の延べ床面積は50万平方メートルに及ぶ。

 だが、この一大プロジェクトは、欧州連合(EU)と距離を取り、中国やロシアに接近するオルバン政権の外交姿勢や対中債務の急増に対する不安をかき立てている。

 調査報道サイト「ディレクト36(Direkt36)」に先月流出した内部文書によると、建設費はハンガリーの高等教育予算1年分を上回る推計15億ユーロ(約2000億円)で、中国はうち13億ユーロ(約1700億円)を融資する計画だ。

 元請け業者は中国の建設会社に決定したが、入札は実施されなかったという。

「それを知ってショックを受けた。何もかも不透明だ。誰にも相談はなかった」と、バラニ区長は不満をあらわにした。年内に住民投票を実施し、地元行政区として建設予定地を国に引き渡すべきかどうか、市民の判断を問う方針だ。