【5月4日 AFP】新型コロナウイルスがまん延するインドから帰国を試みる自国民に厳罰を科すとしていたオーストラリアのスコット・モリソン(Scott Morrison)首相は4日、人種差別的だという批判や、国民の命を危険にさらすという批判を一蹴した。刑罰については態度を軟化させた。

 豪政府はインドからの入国を15日まで禁止すると発表。入国者はオーストラリア人であっても刑罰を科す可能性があると発表していた。

 多方面から反発を受けたモリソン氏は4日朝、報道陣の質問に対し、違反者が禁錮刑を受ける可能性は「極めて低い」と語り、「それが起きる可能性はほぼゼロだと思う」と述べた。

 連日数十万人の新規感染者が確認され、死者も急増しているインドには約9000人のオーストラリア人がいるとされる。

 インドから帰国できずにいるオーストラリア人の中には、クリケットのインディアン・プレミア・リーグ(IPL)でプレーする有名クリケット選手も複数いる。

 クリケットの元豪代表でスター選手だったコメンテーターのマイケル・スレーター(Michael Slater)氏はモリソン氏の決定を「恥だ」と強く批判した。

 スレーター氏は、「首相の手は血で汚れている。よくもわれわれをこのように扱えたものだ」とツイッター(Twitter)に投稿。「もし政府がオーストラリア人の安全を第一に考えるのならば、帰国を許すだろう」

 モリソン氏は、自身の手が血で汚れているという考えは「ばかげている」と述べた。豪テレビ局チャンネルナイン(Channel Nine)に対し、「新型コロナウイルス流行のさなかには多くの難しい決定をせねばならなかった。それらについて人々は私と政府を批判するだろう」と語った。「私は豪州を誤らせることはしない。今は国境を守る」 (c)AFP