【5月4日 AFP】ドーピング検査妨害の疑いがある競泳男子の孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ、中国)が、東京五輪出場へ向けた新たな希望を見いだしている。中国水泳協会(CSA)は、同選手が2019年の第18回世界水泳選手権(18th FINA World Championships)の覇者であることを理由に、五輪に出る資格があると主張している。

 五輪で三つの金メダルに輝く孫は、2018年9月にドーピング検査官が自宅を訪れた際、容器を金づちで破壊して検体の提出を拒否したとして、昨年2月にスポーツ仲裁裁判所(CAS)から8年間の資格停止処分を科された。しかし、CASの裁定には偏見があったとして、同12月にはスイス連邦最高裁判所が審理を差し戻すという驚きの展開となっていた。

 CASの新たな聴聞会は、東京五輪の開幕までわずか2か月となる今月24日から28日まで行われることになっている。孫がそれに向けて準備を整えている中、CSAは先月29日に五輪の出場条件を提示し、2019年に韓国で開催された世界水泳の金メダリスト全員に参加資格があると述べた。

 1500メートル自由形の世界記録保持者である孫は、同大会の200メートルと400メートルの自由形で優勝したが、ドーピング違反の過去があることから表彰台では他の選手からの抗議行動に遭った。(c)AFP