【5月3日 AFP】南アフリカ政府は2日、愛好家向けの「トロフィーハンティング」と呼ばれる狩猟や観光客との触れ合いを目的としたライオンの繁殖や飼育を禁止する方針を明らかにした。観光客に、もっと「本物」の体験を提供するためとしている。

 観光客目当てのライオンの飼育は、かねて物議を醸している。今回の決定は、ライオン、ゾウ、サイ、ヒョウの狩猟、取引、飼育に関する規制について政府主導で行われた調査結果に基づくものだ。

 バーバラ・クリーシー(Barbara Creecy)環境・森林・水産相は記者会見で、調査報告書において「繁殖と飼育を通じたライオンの家畜化」をやめるよう提言があったと説明。「われわれは、飼育下でのライオンの繁殖も、狩猟も、触れ合いも、利用も望んでいない」と述べた。

 今回の政府決定は、大金が動く南アのライオン繁殖・飼育業界の反発を買うとみられる。

 クリーシー氏は、提言の目的は狩猟業界を抑え込むことではないとして、「象徴種の狩猟は法律に基づき、規制された環境下で引き続き認められる」と語った。

 野生動物保護団体の推計によると、南アフリカ国内にはライオン農場が約350か所あり、狩猟、観光、学術研究などの目的で8000~1万2000頭のライオンが飼育されている。こうした飼育ライオンの骨は、東南アジアの伝統薬や装身具の材料にもなっているという。(c)AFP/Susan NJANJI