【5月1日 AFP】欧州連合(EU)の欧州委員会(European Commission)は4月30日、米アップル(Apple)が自社のアップストア(App Store)を通して音楽ストリーミングサービスの競合他社を不正に締め出したとの見解を正式に示した。同社に掛けられた競争法違反の疑いとしては過去最大級。

 アップルをめぐっては、アップストアの厳格な利用規約と料金体系に複数の企業が反発。また、米国やロシア、英国、韓国の当局からの包囲網も強まっている。

 欧州委で競争政策を担当するマルグレーテ・ベステアー(Margrethe Vestager)執行副委員長は声明で、アップルが競合他社に対し高い手数料を請求したり、競合他社が利用者に対してアップストア以外でのサブスクリプション方法を案内することを禁じたりして、音楽ストリーミング市場の競争をゆがめていると指摘した。

 欧州委の見解は、スウェーデンの音楽配信大手スポティファイ(Spotify)などの訴えに基づいた「異議告知書」として公表された。スポティファイなどは、アップルが自社のアップルミュージック(Apple Music)を優遇するためアップストアを不正利用していると主張していた。

 アップルは欧州委の見解を真っ向から否定。同社の広報担当は、スポティファイがアップストアの「すべての恩恵」を望みながら「何の支払いも必要ないと思っている」と反論し、欧州委の見解は「公正な競争とは正反対」だと主張した。

 アップルには今後、反論とビジネスモデル改善の機会が与えられるが、EUを満足させられなければ、年間売上高の最大10%に相当する罰金を科される可能性がある。(c)AFP/Alex PIGMAN