【4月28日 AFP】中国は二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目指しているにもかかわらず、途上国の石炭火力発電所に数十億ドル(数千億円)規模の資金提供を行う方針を示した。同国の気候変動対策当局トップが27日、発表した。

 英国の気候変動分析サイト「カーボン・ブリーフ(CarbonBrief)」によると、中国は昨年、世界で新たに資金提供を受け開設された石炭発電所の4分の3、および新たに発表された石炭火力発電プロジェクトの80%以上を占めた。

 一方で国内では習近平(Xi Jinping)国家主席が、2030年をピークにそこから30年後に温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を達成するとして「脱石炭」を約束。意欲的な目標として国際的にも高く評価されている。

 しかし中国の海外進出は、経済をけん引する石炭火力発電と環境問題を切り離すことの難しさを示している。

 生態環境部気候変動対策室の李高(Li Gao)室長は記者団に対し、「発展途上国の石炭火力発電所への支援をやめると簡単に言うことはできない」と述べ、「気候変動との闘いは、途上国の人々の生活を改善することでもある」と続けた。

 さらに李氏は、ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領が最近主催した気候変動サミットでの習主席の発言を繰り返し、貧しい国々は経済を動かすために依然、石炭を必要としていると述べた。

 中国は世界の温室効果ガス排出量の3分の1を占める最大の排出国で、ジンバブエからインドネシアまでさまざまな国にある数十の石炭火力発電所への出資を続けている。そうした発電所による排出量は、主要先進国を上回ることになると環境活動家らは指摘している。

 一方、政府はカーボンニュートラルを実現するため、国内の石炭使用を「厳格に管理する」ことを約束している。現在は電力の60%弱を石炭で賄っているが、3月に発表された新5か年計画では、2025年までにエネルギーの20%を再生可能エネルギーで賄うとする目標を掲げた。(c)AFP