■学校に行かなくなり、早婚させられる女子たち

 ユニセフによると、イスラム人口が大半のナイジェリア北部では、就学していない600万人の子どものうち6割が女子だ。同地域の女子は、宗教的・文化的な慣習に従った早婚によって教育の機会を奪われることが多い。

 女子向けの精力的な教育キャンペーンや無料の学校給食によって北部での就学率は向上してきていたが、拉致事件の増加によって「今までの成果が水泡に帰している」とアフマド氏は嘆く。「治安の悪化で女子が学校に行かなくなると、親たちは娘を嫁がせる道を選ぶようになる」

 自分の娘2人が拉致されていたムハンマドさんによれば、実際、3月にジャンゲベで女子生徒が解放されると、その中の5人の親のところに娘の結婚話が持ち込まれたという。

 ザムファラ州当局は、この女子生徒たちに地元で通学可能な学校に転校するよう勧めたが、学校側にはスペース不足を理由に受け入れを断られたとムハンマドさんは明かす。

「こんな残念な成り行きで、一番影響を受けるのは女の子たちだ」とムハンマドさんは言う。「娘がただ家にいるのを見ていられない親に嫁がされることになるのだから」 (c)AFP/Aminu ABUBAKAR