【4月26日 AFP】スウェーデンのシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は26日、新型コロナウイルスの流行で世界の国内総生産(GDP)が4.4%縮小したにもかかわらず、2020年の世界の軍事費が前年比2.6%増の1兆9810億ドル(約213兆7000億円)だったとする報告書を発表した。

 報告書の執筆者の一人、ディエゴ・ロペスダシルバ(Diego Lopes da Silva)氏はAFPに「(新型コロナウイルスの)パンデミック(世界的な大流行)のため、軍事費は減少すると考えられていた」と述べた。「だが、少なくとも2020年について言えば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界の軍事費に大きな影響を与えなかったとある程度の確信を持って言える」

 ロペスダシルバ氏は、軍事費の性質から、各国が新型ウイルスのパンデミックによる経済危機に適応するには時間がかかる可能性があると警告した。

 軍事負担(GDPに占める軍事費の割合)は、前年から0.2ポイント増の2.4%になり、2009年の世界金融危機以降としては最大の増加幅を記録した。

 世界の軍事費は米中が突出しており、世界全体の39%を米国が、13%を中国が占めている。

 中国の軍事費は26年連続で増加し、2020年には推定で2520億ドル(約27兆2000億円)に達した。

 一方、米国の軍事費は、7年連続で減少した後、2018年から2020年に3年連続で増加した。

 報告書の執筆に加わったアレクサンドラ・マークシュタイナー(Alexandra Marksteiner)氏は、米国の軍事費増加は、中国やロシアといった戦略的競合国からの脅威に対する懸念の強まりや、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権による軍備増強を反映したものだが、ジョー・バイデン(Joe Biden)政権も「軍事費削減を示唆していない」と指摘している。(c)AFP