【4月21日 AFP】香港警察は20日、90歳の女性が中国公安職員を名乗る偽電話詐欺の被害に遭い、2億5000万香港ドル(約35億円)をだまし取られたと発表した。偽電話詐欺の被害額としては香港史上最高となる。

 警察によると、被害に遭ったのは高級住宅地「ピーク(The Peak)」の豪邸に住む女性で、昨年夏に電話を受けた。詐欺師らは、中国本土で起きた重大事件で女性の個人情報が不正利用されたと説明したという。

 英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)が警察筋の話として報じたところによると、女性は保管・監視のため、銀行口座の預金を捜査班の口座に移す必要があると伝えられた。

 警察によると、数日後、偽の公安職員と連絡を取るための専用の携帯電話とSIMカードを持った人物が女性宅を訪問。女性は計11回、現金を振り込んだ。被害総額は5か月で2億5000万香港ドルに上る。

 警察は、女性宅で働く家政婦が不審に思い、女性の娘に連絡し、娘が通報したことで事件が発覚したと話している。

 警察発表によると、19歳の容疑者が逮捕・保釈された。サウスチャイナ・モーニング・ポストは、逮捕された人物は女性宅に携帯電話を持っていく係だったとみられると報じている。

 香港は世界で最も貧富の差が大きい地域の一つ。(c)AFP