【4月20日 AFP】フランスのクロスグリ(カシス)リキュール「クレーム・ド・カシス・ド・ディジョン」の生産者らは19日、中国企業による「ディジョン(Dijon)」の地名が入った同リキュールの商標登録の無効が認められたと明らかにした。

 クレーム・ド・カシスはさまざまなカクテルに使用されているリキュールで、シャンパンと合わせたキール・ロワイヤルなどが知られている。

 仏ブルゴーニュ(Burgundy)地方のディジョンにある、ブリオッテ(Briottet)を含む老舗メーカー4社は2013年、欧州連合(EU)における農産物・食品の名称保護制度「地理的表示保護(PGI)」に登録。ディジョンを名乗るには、リキュール1リットル当たり、ディジョン地方で漬けたクロスグリ少なくとも200グラムの使用が求められる。

 4社は2019年7月、フランスの食品やワインの原産地名称を保護するための公的機関「国立原産地・品質研究所(INAO)」から、競合相手が中国で「ディジョン」を商標登録しようとしていると警告を受けた。

 ブリオッテは「彼らは、砂糖と香料のみが入った水のボトルに『クレーム・ド・カシス・ディジョン』とラベルを付けて市場に大量に送り込むこともできただろう」と指摘している。

 フランスで毎年生産される850万本のうち国外に販売されるのは約4分の1で、そのうち中国の業者が購入するのはほんのわずかだ。最大の輸出先は、ディジョン産クレーム・ド・カシスの人気が高い日本となっている。

 4社はINAOと共に、中国の国家知識産権局(CNIPA)に商標の取り消しを請求。CNIPAは昨年12月、消費者に混乱を与えるとして中国企業による登録は「無効」と判断した。

 ブリオッテはCNIPAの判断は、1841年から生産が続く製品に付けられた「国際的なブランドとしてのわれわれの地名」を保護する象徴的な勝利だとしている。(c)AFP