【4月14日 AFP】(写真追加)エジプトのスエズ運河(Suez Canal)で3月に座礁し、約1週間にわたって世界の貿易を混乱させた巨大コンテナ船「エバーギブン(Ever Given)」が裁判所命令によって差し押さえられた。運河当局が13日、発表した。

 スエズ運河庁(SCA)のオサマ・ラビ(Osama Rabie)長官は政府系日刊紙アルアハラム(Al-Ahram)に、9億ドル(約980億円)の賠償金が支払われないため、エバーギブンを差し押さえたと語った。

 日本の正栄汽船(Shoei Kisen)が所有し、台湾の海運会社が運航するエバーギブンは、3月23日に砂嵐に巻き込まれ座礁。国際貿易の大動脈でありながら幅の狭いスエズ運河に斜めにはまり、エジプト当局とサルベージ会社による大規模な撤去作業が6日間にわたって行われた。

 ラビ長官によると、エジプト北東部イスマイリア(Ismailia)の経済裁判所が決定した賠償額の9億ドルは、座礁で生じた損失額と離礁作業の費用などを基に算出された。

 同長官は正栄汽船の名前に直接言及しなかったが、別のSCA筋がAFPに語ったところによると、正栄汽船、保険会社、SCAの間で損害賠償に関する交渉が行われているという。

 アルアハラム紙によると、SCAは裁判所への提出書類の中でエジプトの海事貿易法第59条および第60条に言及。これらの条文の規定によると、エバーギブンは賠償額が全額支払われるまで差し押さえられる。

 エバーギブンは3月29日に離礁した後、グレートビター湖(Great Bitter Lake)の係留地に移されている。(c)AFP