【4月12日 AFP】米バージニア州で車を運転していた黒人の米陸軍士官が警官2人から職務質問を受け、銃口を向けられて顔に唐辛子スプレーを噴射される様子を捉えた動画が拡散し、物議を醸している。ラルフ・ノーサム(Ralph Northam)州知事は11日、徹底した調査を約束した。

 動画の中では、軍服を着たラテン系黒人のカロン・ナサリオ(Caron Nazario)中尉が警官から銃を突き付けられ、車から降りるよう要求されている。中尉は、自分がいったいどんな悪いことをしたのだと問い掛け、「まったくめちゃくちゃだ」とこぼしている。一方の警官らは、ナサリオ中尉を非協力的だと非難している。

 報道によれば、事件が起きたのは昨年12月5日。ナサリオ中尉は勤務を終えて帰宅中、購入したばかりのSUV(スポーツ用多目的車)を運転していたところ、警官に停車を命じられた。警察は、車に正規のナンバープレートが付いていなかったためだとしている。

 ナサリオ中尉は身柄を拘束されたものの、何ら罪には問われず釈放された。

 ナサリオ中尉は今月2日、損害賠償100万ドル(約1億円)を求めて警官らを提訴した。訴えによると、警官らはこの一件を公表すれば軍人としてのキャリアを終わらせてやると脅迫してきたという。

 提訴を受けて警官のボディーカメラ映像とナサリオ中尉が携帯電話で撮影した動画が公開され、週末に一気に拡散した。

 バージニア州のノーサム知事は、事件に「心をかき乱され、怒りを感じている」と述べ、警察に「独立した調査」を行うよう指示したと明らかにした。(c)AFP