【4月15日 東方新報】犬や猫を家族の一員としてかわいがる「ペット熱」が高まっている中国で、最近は「ペットのしつけ学校」が話題を呼んでいる。「授業料」が月額3000元(約5万円)という高額でも、飼い主は「わが子」のため喜んで払っているという。

「毛球ちゃん、よくできたね。はい、ごほうびだよ」

 広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)柳州市(Liuzhou)のペット学校で、トレーナーの陳海珍(Chen Haizhen)さんが生後4か月の柴犬「毛球」と一対一のトレーニングを続けている。陳さんと一緒に電動自転車に乗り、運転手が足を置く床の部分でじっとしている訓練を終え、陳さんが毛球の頭をなでながら、お菓子を与えていた。

 ペット犬のしつけを専門とするこの学校の「授業料」は、1か月単位のコースで3000元から。ペットは学校に住み込み、人間の命令に従う基本訓練やトイレトレーニング、「おしりを振る」「死んだふりをする」などの訓練を受ける。

「家の物を壊したり人にかみついたりするトラブルメーカーの犬もいれば、生まれて間もない『白紙』の状態の幼犬もいます」と陳さん。「毛球」の飼い主はペットを飼うのが初めてで、しつけコースとトイレトレーニングのコースで計6000元(約10万円)を払った。

 陳さんは3匹のペット犬を受け持っている。「どの子も最初は不安そうなので、3日間から1週間ほど一緒に遊んで信頼関係を築き、それから訓練に入ります。それぞれの性格や能力に見合った指導が大切です」

 学校責任者の黄丹鳳(Huang Danfeng)さんは「年間100匹近い犬がトレーニングを受けています。飼い主の多くはペットのためにお金を使うことが楽しく、複数のコースを依頼します。ペット犬はもはや番犬でなく、家族の仲間になっていますからね」と話す。

 山東省(Shandong)青島市(Qingdao)のペット学校では、トレーナーの姜実権(Jiang Shiquan)さんが、1歳半のボーダー・コリーと2歳のラブラドール・レトリバーを相手にトレーニングを続けている。姜さんが腕を水平に上げるとジャンプしたり、転がるボールをつかんだり。「訓練じゃなくて、遊んでいて楽しいと犬が感じることが大事」という。

 この学校でもペットを1~2か月預かり、トレーニングを積んでいる。「ペットを飼う若者や高齢者が増えていますが、ペットにしみついた悪い習慣を直すのは難しい。学校で預かった子どもたちは、飼い主の元へ戻る時は従順になっていますよ」

「2020年中国ペット産業白書」によると、国内でペットの犬や猫の数はついに1億匹を超えた。飼い主は1人暮らしの若者や子どもが巣立った高齢世帯が多く、ペットが心の支えとなっている。その一方で1人暮らしではペットの世話が難しく、室内に長時間取り残されたペットもストレスから問題行動が起きやすい。こうした背景から、ペットしつけ学校のニーズは今後も高まりそうだ。(c)東方新報/AFPBB News